カッティング技術の良し悪しは製品の仕上がりに影響しますか?
カードが均一に裁断されていれば、その後のクッキング過程でカード粒子は均一に収縮し、組織が均一となるため発酵むらが少なく、結果的に一定した品質のチーズとなります。また、カッティングやその後の撹拌で、カード表面を傷つけたり破砕したりすると、カゼインや乳脂肪がホエイに移行して歩留まりが悪くなる他、カードの粘度や弾性が失われて品質が安定しません。均一な大きさで凹凸の無い正確なカッティング技術が求められます。
カードは、その切断面からホエイを排出します。1辺10cmの立方体の表面積は600cm2ですが、これを1辺1cmすなわち1,000個に切断すれば、表面積は6,000cm2に拡大し、ホエイの排出は格段に多くなります。チーズの種類に応じて適当な切断寸法を選択する必要があり、一般にカード粒子が小さいほど水分含量の少ないチーズとなりますが、極端に微細なカードではカード粒子の水分が低下しても圧搾時に充分なホエイ排除が行われず水分の多いチーズとなる場合があります。
チーズバット内でカードが団粒化すると、その部分のホエイ排出が阻害されて水分分布が不均一となり、チーズにメカニカルホールを生じやすくなります。メカニカルホールが多い場合は酸味臭や蒸れ臭といった欠陥を引き起こしますから、カードの扱いには注意が必要です。